2008年04月20日

卑怯者の発言

あまりにひどすぎるので何かコメントせずにはいられない。「そんなの関係ねえ」高裁違憲判断で空幕長(ソースは共同通信)として報じられた一件である。
 防衛省の田母神俊雄航空幕僚長は18日の定例会見で、航空自衛隊のイラク空輸活動を違憲とした名古屋高裁判決が現地で活動する隊員に与える影響を問われ、「純真な隊員には心を傷つけられた人もいるかもしれないが、私が心境を代弁すれば大多数は『そんなの関係ねえ』という状況だ」と発言した。
 有名お笑いタレントの言葉を使い、司法判断をやゆしたと取られかねない発言に批判が出そうだ。
他紙サイトもほぼ同様の報道をしているが、初報はいずれも論評抜き。どこも腰が抜けている。その中で産経サイトがなぜか共同電を使っており、さらに幕僚長の写真も載せているのが注目に値する。確かにこの方がページビューは取れるだろう。

asahi.com:イラク違憲判断、空幕長が「そんなの関係ねえ」 - 社会

隊員の心境「そんなの関係ねえ」…一部違憲判決で空幕長 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
NIKKEI NET(日経ネット):政治ニュース−政策、国会など政治関連から行政ニュースまで
自衛隊イラク派遣:輸送違憲 空幕長「関係ねえ」 会見で「隊員の心境代弁」 - 毎日jp(毎日新聞)
「そんなの関係ねえ」 イラク派遣に関する高裁違憲判断で空幕長 - MSN産経ニュース

前後にどのようなやりとりがあったかはわからないが、ほぼ正確な発言であろうとの前提で話を進める。
人事権者である石破茂防衛相は、この無責任極まりない男を即更迭すべきだ。

ある集団の多数が思ったことがそのまま正しいという理屈はない。隊員の「心境を代弁」したつもりであるからと言って何を発言してもいいということにはならない。
物事にはタテマエとホンネがある。どう考えても現行憲法九条と自衛隊の存在は矛盾する。今の自衛隊は、非戦憲法反対の立場からすればタテマエで雁字搦めになっていて、その行動には至るところで制約がつきまとう。それは今の自衛隊に科せられた十字架である。
自衛官は憲法論議に加わってはいけないとは思わないが、実務部隊の長でありながら反憲法を口にするのはおかしい。法律を蔑ろにする軍人が兵力を掌握することは危険極まりないからだ。異議申し立ては現場を離れてからしてほしい。軍部が暴走した戦前の反省を踏まえ、憲法の下で活動しなければならない自衛隊の最高幹部のひとりとして、あまりにも立場を弁えなさすぎる発言である。

……というおそらく常識的な批判とはまた別の点で、私はこの発言を許し難いと思った。
「隊員への影響」についての回答というかたちをとっているが、ここで語られていることが彼自身の心情であることは論を俟たない(まさか半日で隊員に世論調査でもしたのか?)。この内容を自分の立場で発言したら明らかにまずいだろう、という意識があったからこそ、隊員のせいにしたのだ。
典型的な責任転嫁である。こやつらは次の戦争(がいつかは知らないが)でも同じことをきっとするだろう。旧軍の無反省体質は自衛隊にも引き継がれている。およそ軍隊というものが稀有な例外を除いてそういう性質の集団なのかもしれないが。ともあれ、自国民の乗った漁船を撃沈したイージス艦関係者の醜態を見ていてもそれは容易に想像がつく。こんな発言を許してはならない。
posted by NA at 23:55| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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純真な航空自衛隊員?
Excerpt: 田母神俊雄航空幕僚長が名古屋高裁の航空自衛隊のイラク空輸活動がに下した違憲判断について、純真な隊員には心を傷つけられたと人もいるかもしれないと発言。純真な隊員がクラスター爆弾を投下できるのかな?
Weblog: 札幌生活
Tracked: 2008-04-24 14:32