2008年03月14日

通勤電車には不適切な本

つめつめ満員状態の朝の快速電車で、前に立っている背の低い中年男の息が荒いのにふと気づく。薄い髪越しの地肌が汗ばんでいる。
狭く揺れる車内で彼が一心不乱に読んでいる文庫本を肩越しにちらりと見ると、案の定ポルノだった。フランス書院文庫らしい。

別に朗読しているわけでもないから何を読もうと勝手ではあるが、こういう状況で読みたいジャンルなのかこれ。周りにOLもいるのに(幸い気づいている様子はない)朝から何やってんだ、と疑問に思った。世間では痴漢冤罪事件も起きているというのに、そんなに脇の甘いことをしていて大丈夫なのかお父さん。
 大阪府警阿倍野署は11日、交際中の女(31)と組んで痴漢事件をでっち上げ、会社員男性を警察に引き渡したとして虚偽告訴の疑いで、京都市山科区北花山寺内町、甲南大4年蒔田文幸容疑者(24)を逮捕した。
 女が阿倍野署に「(蒔田容疑者から)痴漢事件を装い、示談金を取ろうと持ち掛けられてやった」と自首して発覚した。同署は女も立件する方針で、余罪も追及する。蒔田容疑者は「弁護士が来ないと話さない」と供述しているという。
 調べでは、蒔田容疑者は2月1日午後8時半ごろ、大阪市営地下鉄御堂筋線に女と乗車。堺市の会社員の男性(58)に近づき、目撃者を装って「尻を触っただろう」とうそをついて天王寺駅で取り押さえ、阿倍野署に引き渡した疑い。女は車内で泣き崩れる演技をしたという。
できればこういう人のそばにはいたくないのだが、なにぶん満員電車ゆえ移動はおろか体のポジションを変えることさえままならない。背中にぴったり張り付いた状態で我々は高速移動を続ける。
小声でフゥーフゥー興奮している中年男の後ろ(彼の前面がどうなっていたかは知らない)で過ごす10分間は、体感的には30分以上にも思えた。しかし情が移ったのか、乗り換え駅でともども降りたとき、なぜか「ああお父さんはとりあえず無事だった」とほっとしたりもした。

きっと愛読している作家の新刊か好みのシチュエーションの話に出会ったかしたので、矢も盾もたまらず読みふけってしまったのであろう。通勤電車の掟破りの没入ぶりがうらやましく……は決してないが、まあ人に迷惑をかけない限り許せないこともないような。寛大すぎるかな。やっぱ見た目にキモいことはそれだけで罪になってしまうのか。

いずれ児童ポルノだけでなく成人ポルノも規制される日が来るんだろうな、となんとなく思う。個人の内面に立ち入って非難する論者の多さに比べて、不道徳な趣味を抱えた者たちの反論はいかにも弱々しい。遠からず想像の王国の中でも人は自由でいられなくなるのだろう。
ラベル:中年 通勤電車
posted by NA at 17:52| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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