2005年08月04日

君たちに明日はない(垣根涼介)

山本周五郎賞受賞作品。潔癖なところのある友人が一読して「なんでこんな本が評価されるのか信じられない」とのコメントとともに回してきた。というわけで読んでみた。

結論は、どちらの立場もわかるなあ、という感じ。地の文章で「いまいち」と使ったりする荒さは気になったが、エンタテインメントとしては水準は超えている。クビ切り請負会社を舞台に現代の人間模様を書くという趣向は面白く、盛り込まれている情報もそれなりにフレッシュで興味深い。
だが、読後どこか納得いかない感じが残るのも事実だ。雑誌連載の短編連作という成立事情もあるのだろうが、ご都合主義は否めないし作中で示される判断自体にも疑問は残る。所詮はリストラ側の論理の正当化でしかないのか、と。これは転職・離職という当事者にとってはきわめて重いテーマを、誰もが読みやすい娯楽小説スタイルに消化しすぎてしまった作者の責任でもあると思う。

と友人に話したら、「そんなことより何よりあの主人公が許せん」とのことだった。納得。
posted by NA at 17:30| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/5615092
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック