2006年09月18日

調律するということ

数年ぶりにピアノの調律を頼んだ。引っ越して以来だと思う。

ヤマハのアップライトで、サイレント機構つき(別に夜中に弾きたかったわけではなく、生ピアノをMIDIで鳴らすにはそのタイプしかなかった)という若干特殊な代物だが、ピアノとして弾く分にはただのピアノである。軽乗用車1台分ぐらいの金額で気合入れて買った割には最近碌に弾いておらず、音も狂いまくりだった。

ネットで見つけた調律師さんは、大きなトランクを二つ持って参上し、手際よく仕事をしてくれた。
以前、地元の大手楽器屋専属の調律師に頼んだときは2万円近く取られ、その割にはオクターブを叩くとうねりがあったりして出来は散々だった。無謀にも自分でチューニングハンマー買おうか、とさえ思った。
今回は遥かに安い。それでいて仕事ぶりは丁寧で、完了後さらっと和音を鳴らすだけで、出てくる音の粒が全然違うのが素人耳にもわかる、という見事な仕上がりだった。音が整っているということがこんなにも弾く喜びにかかわってくるものなのか、といい意味で意表を突かれた。
3時間の労働の対価として気持ちよく料金を支払うことができた。日頃碌な音を聴いていないから過剰に反応しているのかもしれないが。

あまりにもピアノがよく鳴るため、同じ曲を弾いても下手は下手なりにミスタッチがずいぶん減った気がした。楽器を演奏するとはこういうことだったんだな、と久しぶりに思い出した。問答無用でうれしく楽しいのだ。このピアノの可能性を引き出していなかったことを申し訳なく思ったりもした。
家に長いこと調律していないピアノを死蔵されている方は、ぜひ腕のいい調律師を呼んだ方がいい。きっと意外な体験をできるだろうから。

で、なぜか話はPCの方へと向かう。MacやLinuxについては使い込んでいないのでよくわからないが、少なくともWindows搭載PCは、使えば使うほどどんどん性能が落ちるように思う。もちろんアプリケーションを追加することで用途も増えて便利になりはするのだが、その一方で基本的性能というか、電源オンからデスクトップ展開が終わるまでの反応速度や安定性については低下の一途を辿っているように思えてならない。

PCにも腕のいい調律師がいたらな、と思った。
呼ぶと大きな鞄を持ってやってくる。まずベンチマークを取って診断した上で、ボトルネックになっている部分をきっちり洗い出す。チューニングハンマーよろしく特化したツールで肥大化したレジストリやバージョン競合のシステムファイルなどの不具合を検出して、ブート時に余計なデバイスのタイムアウトを待っていたのが反応の鈍さの原因であることを突き止め、用途を確認の上でばっさりと大ナタ振るってくれるのだ。ついでにブロアーで内部の埃を吹き飛ばしてキーボードも無水アルコールで洗浄。これで新品時のレスポンスや感触を取り戻せるのであれば、3時間1万円払っても高くない。あなたのPCも定期的に調律を!

と思う人が大勢いれば、きっと既にそういう商売はあるはずだが、あいにくネットで検索して引っかかるほどには普及していないようだ。ピアノ調律の場合音高の調整という要素(結果は素人の耳でも聞き分けられるけど、調律という行為自体には修練が必要)があるのに対して、PCはそれほどハードルが高くないから商売になりにくいのかもしれない。個別具体的な事例には対応できないものの、レジストリ最適化やディスク再配置などの各種性能改善ソフトが安価に出ているから今更マンパワーが入り込む余地はないのだろう。
でも、改善点をうまくプレゼンテーションする工夫があれば、きっとこういうサービスを使いたがる人は少なくないと思う。対象は別に初心者だけに限らない。むしろ中級者以上の方が、愛着のあるマシンをできるだけ長く使いまわそうとしてレジストリをいじったり設定を変えたりと四苦八苦しているのではないか。
案外経営者らにも受けるかもしれない。社内関係者には見せるわけにはいかないファイル満載のPCを秘密厳守でメンテナンス、というサービスならば(守秘をどうやって担保するかが問題だが)意外と需要はあるかも。
去年のクラウンが今年はマークU来年はカローラ、みたいな性能向上競争ももはや過去の話だ。一度作り上げたデスクトップ環境をいかに長く使い続けるか、が今後のPC活用のポイントになってきてもおかしくない。

ハードディスクの暗号化や重い商用ウィルス対策ソフトの追加導入、認証カードシステムなどとがちがちにセキュリティを固められた結果、わが職場のマシン(かなり使い込んでいる)はいまや電源を入れてから立ち上げ終了まで5分以上かかる。コーヒーを飲んで待ちながら、どうしてこんなことになったのか不思議に思うことがしばしばだ。
PCは所詮事務機であり消耗品でしかないのかもしれない。Vistaが当たり前の時代がくれば、今会社にあるマシンはすべてお払い箱だろう。
でも遠くない将来に、使い込めば使い込むほど(特定用途においては)性能が向上するPCとかが出てきてほしいな、と思ったりもした。車や楽器みたいなコンピューターが。
ラベル:ピアノ 調律 Windows
posted by NA at 23:20| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 買物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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調律
Excerpt: ピアノを持ってきてから約半年。そろそろ安定してきた頃だろう、ということで調律を頼むことに。 夕方5時半近くに調律の方がみえる。手際よく、ピアノの外板を外していく。 外された外板たち 昔実家にい..
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Tracked: 2006-11-20 02:16