2010年09月30日

結局i-MiEVを買わなかったわけだが

top_im_a01[1].jpg知り合いのディーラーから「ぜひ一度。ぜひぜひ」と三是非ぐらい勧められて、三菱のi-MiEVに乗ってきた。

四月に若干値引きされたようだが、それでも丸めて300万円の車である。買えるわけない。というか今のところ自分にはまったく買う理由がない。
と言って断ろうとしたのだが、「買う気のない人の意見の方が大事」とかなんとか訳のわからんことを言われて結局乗る羽目になった。売る気があるのかないのかわからない上司のぬるさを心配そうに見守っていた美人の店員さん(眼鏡)の懇願するまなざしに根負けしたわけではない。ありません。

日本初(文章によっては世界初としているものもあるが、GMのEV1は量産車とは違うのかな)の量産電気自動車であるらしいi-MiEVではあるが、世の中ハイブリッド車の方が話題が豊富でいまいち地味である。エコカーの本命は細工の簡単な電気自動車だと個人的には思うが、果たして現状の完成度や如何に。

自分で走らせた瞬間「あ」と思った。アクセルを軽く踏んだだけで、軽自動車の割には重いはずの車重を意識させずについーと滑りだしたからだ。以前ちょい乗りした二代目プリウスは、モーター駆動時は静かではあるがやはり相応に重いボディをよっこらせと動かしている感覚があった。どう加速を演出するか、考え方の違いによるものだろう。より普通の車寄りにプログラムしているプリウスに対して、i-MiEVは電気らしさを隠そうとはしていない、そんな印象を受けた。

ただ走り出して巡航速度に達してしまえば、異様に静かな以外はただの車である。限界まで攻めたわけではもちろんなくて法定速度でちんまり走っていただけなので早計は禁物だが、そこらのリッターカーよりはぜんぜん安定している。これはエンジン振動のなさと底部に敷き詰めた電池による安定性の高さが寄与しているのだろう。とはいえ約300万円の車なのだからそれぐらいで驚いてはいけない。
居住性も軽の割には悪くない。荷物スペースが少ない(ほとんどない)代わりに車内の空間はそれなりに確保されている。とは言え約300万(以下略)
気になったのはドライブ中に運転者が受け取るインフォメーションの少なさだ。エンジンの存在感がない(もともとないから当然だ)と、運転という行為はおそろしくひまな作業になる、ということを思い知った。慣れると居眠りしないかが心配なぐらい。我々が今までエンジンのお守り(もっとも効率的に働かせるためのギア選択なども含めて)にいかに手間を払ってきたかを痛感する。失って初めて理解するのは世の常だ。


なんか三菱らしいなあ、と思ったのは愛想の無さだ。余計な媚は売らないというか、基本性能をきっちり作ればそれで客は満足するでしょう、という姿勢。せっかく未来志向のスペシャルな車に乗ろうというのに、おもてなし(ちょっとぞくっとする言葉なのであまり使いたくないが)感覚の不足のためにずいぶん損をしているような気がした。なんというか、閉ざされているのだ。
社会に対して多くのことをアピールする車であるべきなのに、買って乗ったらハイおしまい的な終着感がどことなく漂う。アフターケアのことを言っているのではなくて(当然電池が劣化したときの交換プログラムなどはあるだろうから)、高い金を出して環境に配慮した見返りが超安定した運転性だけでした、ではあまりにも寂しすぎると思うのだ。すべてを電気で制御することによって得られたあらゆる情報をログ化しネットワークで利用できるようになれば、その先の使い道はたぶんユーザーが考えてくれるだろう。この車を買って始まる新たな関係があればいいな、と思う。

一号車にすべてを望むのは酷だろう。だが、量産さえできれば勘所の少ない電気ものは飛躍的な価格低減が期待できる(と思う)。未来志向のコンセプトを発展させて、運転を通じたコミュニケーションの意味を変える車になってくれたらいいな、と感じた試乗だった。このままではなんかもったいない。ハイテクの粋を結集したのはいいが「え、そこでおしまいなの?」という不完全燃焼感が現状では強い、そんな車だと思う。ごめんね眼鏡さん。
ラベル:三菱自工 EV i-MiEV
posted by NA at 23:55| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 買物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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