2009年12月16日

すばらしきアホの交響曲第七番

官僚な人からまたまた読売日本交響楽団定期@サントリーホールのチケットをいただく。先月にも同じ読響のシュニトケづくしを聴いたのだが(感想未記入。気が向いたら書くけど、なかなかの演奏だった)、今度はフィンランドからアホの交響曲第七番+ベートーベンの交響曲七番、というラインアップ。
今宵の指揮はオスモ・ヴァンスカ。細身で長身、という北欧イメージそのままの指揮者で、体を大きく使うシャープな棒さばきに見とれた。背を二つに折って低い位置から音を掬い上げるような所作が美しい。絵になる指揮者だ。


現代音楽家アホの曲を聴くのは初めてだ。予備知識のないまま、「この曲も今回聴いたら一生二度と出会うことはないのだろうなあ」と思いつつ着席。最近そういう曲ばかり聴いてるし。
パンフレットでもともとがオペラ作品だったと聴いてさらに期待度は低減する。言葉や所作抜きで舞台作品を聴くのはしんどいよなあ。まあベト七で盛り上がればいいや。

違いました。いやーこりゃ面白い面白い。冒頭楽章は変拍子で打楽器どんどこのよくあるゲンダイオンガクの予感で始まったのだが、複雑に綾なす管楽器との絡みが起伏に富んでいて実に愉快。指揮者の情報量の多いキューに応えるオケの妙義を堪能した。
そしてオーケストラをこれでもかこれでもかとフルに鳴らしきる過剰な音響が実にライブ向きでよろしい。六楽章中頂点の乱痴気騒ぎである五楽章では二階両サイドに配置されたトロンボーン二本ずつのバンダもここぞとばかりに吹きまくり、サントリーホールの広大な空間が飽和しそうになるぐらいだ。
きっと楽界では十分名を成した作曲家で、拾い物扱いしたら失礼になるのだろうが、うれしい誤算だった。作曲から二十一年経っているため最新とは言えないものの、十分新しくなおかつ意味のある音楽だったと思う。ずっと前にメシアンの「クロノクロミー」を聴いたときと同じぐらい感動した。読響ぐらい高性能なオケでなくてはなかなか難しいレパートリーだとは思うが、ぜひ他の所でも舞台にかけてお客を驚かせてほしいものだ。作曲者のアホ本人も来場していて、盛大な拍手を再三浴びていた(名前を呼ぶ人はいなかった)。よかったねえ。


ベト七も極上。オスモ・ヴァンスカの指揮は曲間に余韻を残さない快速な演奏だった。一楽章も指揮台に立ったと思ったらいきなり始まり、オケも意表を突かれた様子で若干入りが乱れたぐらいだ。でもそこがよい。四楽章では弦の楽譜に特殊奏法記号でも書いてあるのかと思えるほどノイズでまくりの激しいボウイングを強いて、でこれがまた実によろしい。限界まで煽る棒にオケもよく付いていった。弾むリズムに思わず体が動きまくりましたよわたくし。いつものことながら後ろの席の人ごめんなさい。
食傷ぎみの年末興行でも、オスモ・ヴァンスカの第九なら行ってもいいかなと思える、そんな演奏会だった。読響はもっと彼を呼びなさい。
posted by NA at 11:01| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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