2009年07月20日

なぜ公明党と戦わないのか


結局日和ったか小沢一郎、と思わせる結末。NIKKEI NETから小沢氏は東京12区に国替えせず 民主、独自候補擁立へを参照。
 民主党は21日に決まった衆院解散を「政権交代解散」(鳩山由紀夫代表)と銘打ち、8月30日の投開票日に向けて一気にアクセルを踏む。小沢一郎代表代行は17日夜、都内のホテルで岩手4区からの「国替え」が取りざたされる東京12区の関係者らと対応を協議。近く独自候補を擁立し、自らは同選挙区に転出しない考えを明らかにした。
 東京12区は太田昭宏公明党代表の選挙区で、自公政権との対決の象徴として取りざたされてきた。小沢氏は17日の協議で「全国の選挙区に影響を与える重要な選挙区だ。勝てる候補で、親しい人を立てる。一任してほしい」などと力説。来週中に記者会見し、候補者を発表する方針だ。
代わりに鳩山由紀夫が出るのならまだしも、まあぽっと出の元秘書か民放キャスター崩れあたりに振られるのがオチとみた(せめて30代のましな候補にしてほしいものだ)。ネットには出ていないが、朝日の朝刊では「将来の公明党との連携の可能性」が国替え取り止めの理由に挙げられていた。
民主党中心の政権に公明党が参加する頃、冬柴鉄三がいる兵庫8区に切り込んで返り討ちに遭った田中康夫とその一派はあっさり切り捨てられるのだろう。かくして公明党は引き続きキャスティング・ボートを握ることになる。めでたしめでたし。

昨年書いたエントリ(もう八ヶ月も前になるのかあ)で「まあ実際のところ民主党とはそういう大胆な賭けに出る党ではないよな、いろいろな立場の利害が絡んで身動き取れないだろうなあ、とわたくしは見くびっている」とずいぶんえらそうに挑発して見せたが、果たして読みどおりの顛末となった。相手のある勝負事であれば、優勢を意識して守りに入るような緩手を打った側は必ず痛い目に遭うのが常だが、はてさて。
思うところは前回書き尽くしたので繰り返さないが、今回民主党がたとえ自民を制して第一党になったところで、所詮公明込みでの過半数で政権を維持しようという腹ならば大して長持ちすることはなかろう。麻生首相、以て瞑すべし。

「繰り返さない」と書いていながら繰り返しになるが、麻生首相最後の賭けとして自公連立を解消するのがこの際の最善手ではないか、と改めて思う。おそらく小沢一郎の今回の決定の背後には、民主と公明の間で密約とまでは言わないにしても何らの意が通じていることはまず間違いないからだ。自民党と民主党の候補が大接戦を演じている選挙区で、本来自民を支援すべき学会票に多少手心を加える、ということは往々にしてありそうな話だと思う。
裏切るかもしれない味方はもはや味方ではない。このまま支持率低下のバンジージャンプに挑み続けるのも傍目には面白いので悪くはないが、最後にひとつだけ「ぶれない」ところを見せておいた方が「次」の首相の目を残すためにも必要ではないか、と愚考する次第。安倍某とは違うところをきっちり示しておくべきではなかろうか。以上文中敬称略でした。
posted by NA at 09:51| 東京 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | 報道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お説、興味深く拝見しました。
ご存知の通り、たとえ民主が衆議院選挙で過半数を取ったとしても、参議院で過半数がないので、政権を運営するためには、自民か公明と組まなければなりません。反対だけしてその結果責任も与党にかぶせていればよかった野党時代なら社民や共産と組めても、与党になったら組めません。安全保障の考え方が違いすぎますから。
私は、民主は自民に接近すると思います。自民が割れればなおさらその片一方と組む可能性が高いと思います。
ただし、現在の与党が打ち出している政策のうち、官僚が嫌うけれども国民の評価が高く政策や効果が出ている政策(例えばエコ政策、景気対策)のほとんどを公明党が提唱して自民が乗ったという経緯を見ると、民主党からみて公明党は無視できない官僚と渡り合う能力を持つ存在ではあると思います。今の民主党は官僚を批判する能力は高くても、官僚を使いこなす能力はないと私は見ています。かといって自民は官僚べったりですから。しかし公明党から見れば、政権与党が変わったからと言って民主に鞍替えすると国民の信頼はかなりなくなるでしょうし、ましてや非自民連立政権時代の痛い記憶(連立内のバラバラを調整するかすがいの役割と責任を公明勢力が背負わされた。その時のメンバーの多くが現在民主党)があるので、そうやすやすとは組めないと思います。だからこそかつては反目であった自民と組んできたわけですから。
Posted by yossy at 2009年07月20日 23:43
yossy様、コメントありがとうございます。

私は公明党の政見そのものよりも、自民党との野合的連立に対してかねて批判的な立場を取っています。今の連立与党のどこが人間主義を実践しているのか、とか。折衷主義が必ずしも悪いとは言いませんが、原理原則を蔑ろにして政権与党の座にしがみつくのは決して美しい姿とは言えないと思います。

たとえばかつての地域振興券の愚を繰り返した定額給付金や、車の不要な買い換えを促し長距離ドライブを促進するような自動車優遇政策の数々は公明党の提唱によるものなのでしょうか。だとしたら御説に簡単に首肯するわけにはいきません。

官僚のコントロールがむずかしいことは確かだと思います。私はまだ半信半疑ですが、もし民主党が首尾よく次の総選挙で衆院の過半数を勝ち得たとしても、それは彼らがスタートラインにつく資格を得たに過ぎず、本当の評価はそこから始まることは確かでしょう。有能な官僚のポテンシャルを十分に引き出し、効率的な政策運営を行えるまでの困難はひとかたならぬものがあると思います。

だとしても、公明党の主唱する政策がこれまでの連立政権で十分反映された結果が現状の日本の有様なのならば、自民党と一緒にしばらく一線から退いて野党として民主党主導政権のあり方を批判的に検証する立場を取られることの方が、この国の政治に取って大いに望ましいことだと私は感じます。そのためにも民主党には公明党との間に明確な一線を引いて貰いたい、と願っています。

政党は政権批判のためよりも政権獲得のために存在すべきものなので(55年体制の社会党という妙な例外もありましたが)、総選挙後も公明党があらゆる方策を講じて政権参画を目指すことは何らおかしなことではありません。ただ、私の個人的な意見としては、ここまでの過ちを認め総括しないままで次のステップに進んでほしくはない、との思いが強くあります。もし公明党がこのまま自公連立の枠組みを維持して戦うのであれば、選挙後に民主党主導の政権(が発足したとして)に加わることは決して民意に適うことではないと思います。
Posted by NA at 2009年07月24日 01:47
お返事頂きありがとうございます。
公明党の主唱した政策の評価をめぐっては意見の分れるところです(私は地域振興券と定額給付金を高く評価しています)。
また、「自民党との野合的連立」という批判はよく分かります。ただ、テレビの「時事放談」で野中広務が、「公明党はそういう批判を受けることを覚悟で日本のために自民と連立してくれた。それを今の若い自民党の議員は忘れている」と怒っておりましたが、そういう視点もあるということは、考慮してもよいのではないかと思います。
NAさんのお考え、論理の建て方はたいへんすっきりされており、考え方の違う私でも気持ちよく読めます。理解しようという気持ちになります。知り合いの国会議員(名前はもうしません。昔から知っている生真面目な方です)が言っていましたが、「国会では真実が語られない。ウソが事実としてまかり通る。」と嘆いていました。そのウソにマスコミが簡単に乗ってしまう、とも。政敵をたたき落とすためにはウソも簡単につく。マスコミを使って感情的に流せば、自党への流れは出来るわけです。そういう感情的なウソに流されないものをこのサイトに感じました。
また、拝見させて頂きます。たまに思うところをコメントさせていただきます。
Posted by yossy at 2009年07月26日 22:10
yossy様、公明党に対して罵詈讒謗の限りを尽くしているような文章なのにお褒めいただき甚だ恐縮です。というか過大評価に心苦しさすら覚えます。
選挙後になったらころっと宗旨替えして鳩山攻撃しているかもしれません(彼のことをあまり好きになれそうにはありません)が、お暇でしたらまたお越しください。

違う考えを持っておられる方の意見に耳を傾ける者でありたい、と常日頃願ってはいるのですが、実際に行うのはなかなかむずかしいものだと思うことがしばしばです。またコメントをいただけたらうれしく思います。
Posted by NA at 2009年07月29日 01:22
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