2008年12月13日

最近読んだコミックなど

本屋通いの回数はずいぶん減ったが、気づくと机の周りにコミックの山ができていた。以下、必ずしも新刊ばかりではないけど印象に残ったものを。

まんが極道(2)(唐沢なをき) うーん。漫画家超残酷物語 のときには昇華されていた私的な恨みつらみが、このシリーズでは生に近いかたちで放出されているように思える。死んだり殺したり腐ったり狂ったりのバッドエンド(というのかな)が多く、笑えるけど後味が悪い。世間や編集者や親家族らと葛藤しながらギャグ漫画家であり続けることは大変なのだなあ、と長年の苦労をしのばざるをえない。
ところでアシスタントが全員女性(巻末のスタッフ名から判断しているため無保証)というのはちょっと意外ではあった。

ロボ道楽の逆襲(とり・みき) 比べてはいけないのかもしれないが、葛藤を経て達観の段に至るとこのような短篇集になるのだろう。余人の追随を許さぬスター・システムは貫禄すら感じさせ、あちこちに発表した作品をリミックスしてノンストップで読ませる手際も相変わらずうまい。偉大だ。
どうでもいいことだが、「伝道の書に捧げるマベビバラバラ」は、ここからまた「額縁」が始まるのかと勘違いしてしまった。パロディの毒に当てられてしまった感じ。

芸術新潮2008年11月号 特集の「手塚治虫を知るためのQ&A100」を読みたくて買った、という以前にこの表紙に惹かれた。漫画版スター・システムの元祖とも言うべき手塚のキャラクター勢ぞろい(折り込み付録もある)。懐かしさもあったが、お気に入りの人形に囲まれて眠る子供のような寂しさも同時に感じたのは勝手読みが過ぎようか。特集中には手塚が各キャラクターのギャラを査定したメモなどもあった。
手塚漫画で、人形やロボットに囲まれてひとり生きる男、という主題は一度ならず見かけたように思う。ほぼ半世紀働き詰めで死んでいった天才はやはり孤独ではなかったか。

HOTEL(Boichi) 版元が双葉社だったらA5判で出していただろうに、と残念に思う。ハードSFの読み手の少なさを反映したサイズ&価格なのだろうか。
韓国出身というBoichiは気宇壮大さにおいて星野之宣と手塚治虫のスタイル・精神を受け継いでおり、他方キャラクターの崩し方や「全てはマグロのためだった」のバカSF風味は現代漫画家としての融通無碍さも感じさせる。今後も期待したい作家だ。日本漫画は日本人だけのものではないのだ。
四十頁余の表題作「HOTEL-SINCE A.D.2079-」なども、ページ数がもっとあればもっと読み応えがある作品になっただろう。高い描写力とセンス・オブ・ワンダーという死後になりかかったキーワードを思い起こさせる構想力には敬服。オールカラー大判本でもよかったのになあ。もっとSFを!

世界の終わりと夜明け前(浅野いにお) 著者は27歳にしてすでにデビュー10年目という。それでこんなにタッチが完成しているんだからすごい。
Boichiとは対照的な何事もない(わけでもないか)日常を題材に淡々と物語を綴る、これもこれで現代漫画のひとつのあり方。収録作品の中では「日曜、午後、六時半。」が好みだった。青春群像もいいけど、やっぱり変化球がほしいところ。雑誌で拾い読みしていた意欲作「おやすみプンプン」も買わねばなあ。

きのう何食べた?(2)(よしながふみ) ゲイカップルのふつうの日常がこれほどまでに当たり前に描かれたものを読んだことはなかった。一組の人生のあり方として過剰に入れ込むでもなし突き放すでもなし、の絶妙なスタンスで主人公カップルを描いているのがよしながふみならではの真骨頂。
そして食生活の人生における比重を改めて見直す作品でもある。おいしい食べ物さえあれば困難な事態も全部解決!みたいな某長期連載漫画とはもっとも遠いところにある。人生の諸問題を解決するための料理ではないのだ。そのへんがまたよろしい。

さよなら絶望先生第15集(久米田康治) 途中何巻か買い忘れていたことに気づいた。まあいいか。どこから読んでもいい作品ではあるし。
最初の方の単行本を今読み返してみたら,時事ネタは半分以上意味がわからなくなっていた。元ネタ解説サイトも更新が止まっている模様。たぶん2ちゃんねるの漫画板で誰かが続けているとは思うけど。21世紀初頭の日本風俗史を語る上で欠かせない作品かもしれないので、篤志家の方々は引き続きがんばってください。

あー、あとオノナツメまとめ読みとかもしたんだったなあ。きりがないので今回はこのへんで。
posted by NA at 05:27| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
めちは、昇華しなかった。
Posted by BlogPetのめち at 2008年12月13日 13:36
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