2008年10月15日

何があったんだろう?

torinotameni.jpgユーゴ内戦をきっかけに編まれた一冊の詩集があった。絶版だったが、合唱曲になって広く親しまれたこともあって「復刊ドットコム」で再刊を望む投票が始まり、数年越しのファンの願いが実ってこの夏復刊の運びとなった。と思ったのも束の間、問題が起きて回収される羽目になったという。

以下は復刊ドットコムblog: 『鳥のために』のために(Googleキャッシュ)から引用。
山崎佳代子さんの『鳥のために』は、詩集版元として高名な書肆山田さんから1995年に刊行された詩集でした。絶版・品切で、しばらく入手できない状態にあったこの本への復刊リクエストが始まったのは2003年8月、ゆっくりと、しかし確実に票を集め、2005年の5月に100票が達成されました。本書は、旧ユーゴスラヴィア連邦の首都であったベオグラードに在住されていた著者が、うち続く民族紛争、内戦のさなか、異郷にあって、その悲しみを見続け、感受性のうちに凝らされた言葉を詩として紡いだ作品です。その後、さらに激動を続ける情勢の中、空爆下でも帰国を拒み詩作を続けた山崎佳代子さんの活動については、随筆『そこから青い闇がささやき』にも詳しいので、是非こちらもご覧になっていただければと思います。
さて、この『鳥のために』は復刊ドットコムで、一定数の予約が集まれば少部数でも復刊する『仮予約』企画で、復刊提案を行わせていただいた、詩集ジャンルとしては最初の作品となります。現代において、「現代詩」というジャンルが販売の上で難しいのは想像に難くないところですが、採算ラインをクリアするために設定された必要予約部数150部を、100部近くオーバーして復刊を実現できたのは、ファンの方たちの運動のたまものでした。特に『鳥のために』の詩に合唱曲として曲を書かれた作曲家、松下耕さんのサイトからの応援が大きかったものと思います。本書の復刊リクエストも、合唱曲としてこの作品を歌い、知っていた方たちからの多くの得票がありました。こうした色々な思いが集まって一つの作品の復刊が実現されていったのです。
「感受性のうちに凝らされた言葉」という表現はやや謎ではあるが、関心をそそるいい紹介文である。これは読むしかない、と思った。
読者の少ない現代詩は、新刊時点で買い逃したら古本で入手することは極めて困難だ。図書館になければ、思潮社が現代詩文庫にいつの日か収録してくれるのを待つほかない。
というわけで全国に生息数わずか数千人(推計値)の希少種である現代詩ファンの一人である私としては、世評の高い詩集のリバイバルを記念すべく一冊買おうともくろんでいた。九月には復刊のきっかけとなった合唱曲の演奏会も企画され(予定が合わずに行けなかったが)、詩人本人も来日しているという。盛り上がってるなあ。話題にされること自体希な現代詩の分野では久々にいい話だ。

……しかし、わずかな間に事態は暗転したらしい。復刊ドットコムのリクエスト投票ページに本を買いに行ったら、思いがけない掲示があった。

『鳥のために』 販売停止のお知らせ


復刊ドットコムにて発売を行っておりました詩集『鳥のために』につきまして、制作の過程において発行元ブッキングの手続きに重大な過誤があったことが判明いたしました。このためブッキングでは、復刊ドットコムを含め、個人、販売店様への同書籍の今後一切の販売を停止することといたしました。

また、著者の山崎様および元出版社である書肆山田様へご相談、協議の結果、既に販売した全冊を回収、購入者の方にはお支払いいただいた代金全額をご返金させていただくことといたしました。お買い求めいただいた皆様には別途ご連絡をさしあげますので、何卒、回収にご協力くださいますようお願い申しあげます。

本件にともない、著者の山崎様、書肆山田様、またご購入いただいた皆様に多大な御迷惑をおかけすることとなってしまいました。ブッキングより深く陳謝いたします。

何卒、ご理解、ご容赦いただき、今後ともご愛顧くださいますようお願い申し上げます。

2008年10月3日
復刊ドットコム
「重大な過誤」の中身は見当もつかないが、著者かオリジナルの版元にもかかわっていることなのだろうか。何にせよ復刊ビジネスはいろいろ難しいものらしいな、と思わせるステートメントではあった。
もしかしたら予想以上に引き合いが多かったのが徒となった、とか。いやいやまさかそんなことはなかろうが。

しかしこうなるとこの詩集を読めないのが残念でならない。合唱曲になっているのはごく一部だろうし。書肆山田で再版したりしないのかなあ。どなたか詳しい事情をご存じないでしょうか。
posted by NA at 04:27| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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