2012年09月08日

バットマン映画の完結編、なのだが

やっと映画「ダークナイト ライジング」を観てきた。前作からもう四年。早いですのう。見なければ見なければと思いつつ「前作ほどでもない」という世評に引っかかって優柔不断のうちに夏は過ぎて、結局首都圏での上映がほぼ終わりかけのタイミングで足を運んだ。以下感想とも何ともつかぬものをだらだらと。
地方ではまだこれからロードショーのところもあるんだろうけど、まあネタバレはあまりしませんのでご了解を。だいたいそんなに読まれてないやねこのサイト。

三部作の真ん中「ダークナイト」は、今思い返しても背筋の凍る大傑作だった。ということを今作を見終わった後に改めて思い出した。まあ今度はそういう映画ではなかったということだ。仕方ない。映画史に残るような作品を続けて出せるわけがないのだ。
では「ライジング」には何が欠けていたのか、というと、そりゃあもうジョーカー=ヒース・レジャーの不在に尽きる。前に書いたことの繰り返しになるから端折るが、喜悦の表情を顔に刻印したままあり得ない犯罪を繰り広げるジョーカーは、映画とわかって見ているのに本当に怖かった。ゆえに荒唐無稽な殺人も誘拐も、全部「あり」だった。ジョーカーが次に何をしでかすか、に対する興味(というより畏れだったな)が二時間半の長尺に一本通った背骨として機能していた。
今作の悪役ベインは、なんというか苦労の人であって後段でちゃんと悪に走った動機まで説明されているので問答無用のワルではない。まあそれはそれでいいのだが、結果として観客は冷静に状況を判断できちゃうのだ。スクリーンに架空の世界を現出させる映画にとってそれはあまり好ましくないことであろう。今回、夢の王国ならぬ犯罪都市ゴッサムをめぐる巨大な陰謀の嘘臭い部分が妙に気になったのは、やはりスクリーンを安心して見ていられたからだったと思う。

前作のヒットを受けてのロケのスケールの大きさは見事だったし、そしてバットマン映画に欠かせないメカの活躍は十分魅力的に描かれていたと思う。しかも乗っているのが「キャットウーマン」アン・ハサウェイときたもんだ(でももう少しサービスカットほしかったよ)。
ただ、予告編でこの映画の最善の映像はほとんど出尽くしていたんだな、と思ったこともまた事実だ。あの印象的なフットボールスタジアムでの大惨事の場面だけに期待していると残念ながら肩透かしを食らうだろう。トレーラー製作者に拍手を贈ろう。

おそらく本国アメリカでは、ティーン向けのコミック雑誌でバットマンと共に育ってきた世代が、より大人向けの意匠と苦悩をまとって登場した憧れのヒーローに涙するという受容がされているのだろう。ラストでのロビン登場の予告以外にも、原作読者のツボを押しまくる仕掛けはいろいろあったに違いない。
ファンにしてみれば、幼い日の英雄が現実社会によく似た空間で大活躍してくれるだけでもありがたいことだ。日本で言えば浦沢直樹版の「PLUTO」とかと同じですね。だからベイン一味の「革命」がいったい何を目指していたのかよくわからんとか(1200万市民を皆殺しにする気ならば簡単にできたのに)、銃さえ持っていれば大企業の役員会だろうがなんだろうが簡単に制圧できちゃうのかとか、バットマンはベインとの素手の対決で何をしたかったのかとか、ブルースは女を見る目がなさすぎないかとか、その他もろもろの細かい(とばかりも言えない)疑問は所詮野暮なツッコミでしかない。前作「ダークナイト」のあらすじもたぶん冷静な目で見直せば穴だらけなのだろう。
もっとも「ダークナイト」で描かれた「悪を倒すための悪」という主題はやはりそれ自体が魅力的だった。それが今作は「精神と肉体が悪を倒す」というところに落ち着いて、地底でいっぱい腹筋したから正義が勝つというある意味単純化されたドラマに回帰しているのが惜しい。
ああ、あとやっぱり最後はちゃんとブルースが×××ままで終わってほしかったんだけど、ああいう蛇足をつけちゃうのがやっぱりご家庭層にも楽しんでいただくためには必要なんでしょうかどうなんでしょうか。

料金分以上楽しめる映画であることには違いないし、前作に続くハンス・ジマー作曲の音圧感溢れるサウンドトラックはごんごん耳に迫るので映画館的体験という意味でも優れた作品だと思う。何度でも繰り返すが、「ダークナイト」が凄すぎたのだ。そしてアン・ハサウェイのスピンオフ作品を撮るときにはもう少しそのなんだ、見せ方を考えてほしいと思ったことだった。お願いしますよ。
posted by NA at 01:37| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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